2010年9月9日 2010年前半期の国際観光客到着数7%増

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2010年8月の「UNWTO世界観光指標」(UNWTO World Tourism Barometer)を日本語に訳したものです。
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・8月末までに入手した140目的地国の仮データによれば、2010年前半期(1月~6月)の国際観光客到着数は7%の増加になったと見込まれる。先進諸国の6%よりも大きい、新興諸国の8%の強い経済成長に牽引され、世界のすべての地域において観光客数は増加している。この結果は、観光客到着数が4.2%の減少を受けて8億8千万人に、国際観光収入が5.7%の減少を受けて8,520億米ドル(6,110億ユーロ)に落ち込んだ、もっとも厳しいといえる2009年に続くものである。

・これまで、全世界の国の3分の2であり、すべての主要な目的地国を含んだ140カ国は、国際観光客到着数の2010年1月から7月のうちの2カ月分のデータを入手しており、これらのうち、30カ国(21%)は減少しており、101カ国(79%)は増加している。さらにそのうち、51カ国(34%)は2桁の増加を見せている。全地域にまたがった90カ国は、少なくとも前半期の数値を出しており、この目的地のサンプルデータによると、1月から6月の世界的な到着数増加は7%の増加になったと見込まれる。月単位でみれば、5月(10%増)、3月(9%増)、6月(8%増)が2010年前半期で最も大きく、イースター休暇での人々の移動が今年は3月後半にシフトしたことと、アイスランドの火山噴火によるヨーロッパの空域閉鎖のために、4月はもっとも小さい(2%増)増加となった。

地域

・増加が最も大きいのは中東(20%増)であるが、到着数が16%減少して大きく後退した2009年前半期と比較したものである。

・アジア・太平洋地域は、特に、驚異的な立ち直りを見せている。この地域は、早い時期に、金融危機の影響を突然に激しく受けたわけだが、一番に立ち直り、今年の前半期は、14%の観光客到着数増加を示している。1997年から1998年のアジアの金融・経済危機、2003年のSARS流行、2004年末の津波のような過去の例において、この地域は強い回復力を有していることを何度も証明している。オセアニア(5%増)は、この地域の中で唯一穏やかな増加を見せている小地域である。少しの例外はあるが、北東アジア(16%増)、東南アジア(12%増)、南アジア(14%増)の目的地国は2桁の増加である。スリランカ(49%増)、日本(36%増)、ベトナム(35%増)、ミャンマー(35%増)、台湾(29%増)、香港(23%増)、マカオ(23%増)、シンガポール(23%増)、フィジー(22%増)、モルジブ(21%増)、パプアニューギニア(20%増)、ネパール(19%増)は、どれも注目すべき増加を見せている。タイ(14%増)さえも、今春に政治危機があったにも関わらず、リピーターたちに支えられて健闘している。
国際観光客到着数 月別の伸び率
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・アフリカ(7%増)は、2009年に増加している唯一の地域であり、南アフリカ共和国で開催されたサッカーFIFAワールドカップとそれによるイメージアップを利用して、勢いを維持し、これからも成長を続けるだろう。

・アメリカ諸国も、世界的な平均である7%程度、増えている。中央アメリカ(9%増)、北アメリカ(8%増)、南アメリカ(6%増)で増加は大きく、カリブ海(4%増)では比較的増加が小さい。

・ヨーロッパ(2%増)では幾分、成長が遅れている。この地域のいくつかの国の経済は、回復に手をこまねいており、4月のアイスランドのエイヤフィラトラヨークトル火山からの火山灰によってヨーロッパの空域が閉鎖されたせいで、明らかに需要も滞った。西ヨーロッパ(5%増)、南・地中海ヨーロッパ(3%増)は悪くないが、中央・東ヨーロッパでは昨年の減少の埋め合わせができておらず(0%)、北ヨーロッパ(3%減)は、減少を示した唯一の小地域である。
2008年データとの比較
・国際観光に成長が戻ってきているものの、この成長は、非常に悪い結果であった2009年前半期のデータと比較していることに注意する必要がある。この時期、国際観光は8%減少(第一四半期が10%減、第二四半期が7%減)し、間違いなく経済危機の底であった。事実、2010年前半期に4億2千万人に達した国際観光客到着数は、2009年の3億9400万人から7%増加しているが、それでもまだ、2008年前半期の4億2900万人(年間で9億1900万人)には2%足りていない。

・そうではあるものの、多くの国では2009年の減少を乗り越え、2008年の水準を超える記録を打ち出している。2010年の前半期を2008年の前半期と比較すると、サハラ以南地域(16%増)、北アフリカ(12%増)、北東アジア(7%増)、南アジア(7%増)、東南アジア(5%増)、南アメリカ(4%増)の6つの小地域では実質的な増加を見せている。さらに、中東、オセアニア(ともに0%)の2つの小地域は、2008年と同水準に回復しており、北アメリカ(1%減)、中央アメリカ(1%減)、カリブ海(2%減)、西ヨーロッパ(5%減)、南・地中海ヨーロッパ(6%減)、北ヨーロッパ(11%減)、中央・東ヨーロッパ(13%減)の7つの小地域では、減少している。

〔見通し〕 現在の速さの成長が継続する
・例年、1月から6月の国際観光客到着数は、平均的に年間観光客到着数の45%である。北半球で7・8月は旅行シーズンであり、到着数が上がる。40カ国では、すでに7月の観光客到着数を報告している。限られた国のデータだけでは十分なサンプルであるとは言えないが、現在の速さの成長が続く傾向ははっきりと見てとれる。それまでに報告のあった国では、例外なく、7月の数値は増加しており、そのうち半分以上の国では、2桁の成長である。

・これまでの成長は、初めの予測よりを多少上回った。2010年1月、世界観光機関は、2009年前半期に下がった非常に低い起点からの2010年前半期の大きな成長と、2010年後半期の緩やかな成長によって、年間で3~4%国際観光客到着数が増加すると予測していた。(いくつかの地域では、2009年の後半期にすでに回復を始め、7月~12月の観光客減少を1%減に抑えている。)このままいけば、現在の成長率から、年末の成長率は4%に近くになると見込まれるが、この数値を超えることもあるだろう。次回の通常発行の「UNWTO世界観光指標」
は、10月末の発行を予定しており、世界観光機関は、7・8月を含む結果と今年の最新年間予測、第一回の2011年の見通しを報告する。

・ほとんどの国は、観光収入について、2010年の第一四半期しか報告していないが、前半期の予想は、次回の通常発行の「UNWTO世界観光指標」に掲載する予定である。国際観光収入の増加は、多くの地域でまだ幾分遅れているようである。大きな危機の後、旅行者は、より近距離を、より短期間滞在し、コストパフォーマンス面の充実を求めるため、観光客到着数は観光収入より早く回復するが、供給側では、競争(特にコスト面での)が激化する。この現象は、アジアの金融・経済危機、2001年9月11日のテロの後にも見られたものである。