持続可能な観光の定義

持続可能な観光をわかりやすく定義すると、
「訪問客、業界、環境および訪問客を受け入れるコミュニティーのニーズに対応しつつ、現在および将来の経済、社会、環境への影響を十分に考慮する観光」ということになります。

出典:Making Tourism More Sustainable - A Guide for Policy Makers, UNEP and UNWTO, 2005, p.11-12

コンセプトの定義

持続可能な観光に関する開発ガイドラインや管理慣習は、マス・ツーリズムや各種のニッチな観光分野も含め、あらゆる種類のデスティネーションにおけるあらゆる形式の観光に適用できるものです。持続可能性の原則は、観光開発に関する環境、経済、社会文化的な側面にもあてはまり、これら3つの側面の間で適切なバランスを図り、その長期的な持続可能性を確保しなければなりません。


ですから、持続可能な観光では以下のことが求められます。
1)主要な生態学的過程を維持し、自然遺産や生物多様性の保全を図りつつ、観光開発において鍵となる環境資源を最適な形で活用する。

2)訪問客を受け入れるコミュニティーの社会文化面での真正性を尊重し、コミュニティーの建築文化遺産や生きた文化遺産、さらには伝統的な価値観を守り、異文化理解や異文化に対する寛容性に資する。

3)訪問客を受け入れるコミュニティーが安定した雇用、収入獲得の機会、社会サービスを享受できるようにする等、全てのステークホルダーに公平な形で社会経済的な利益を分配し、貧困緩和に貢献しつつ、実行可能かつ長期的な経済運用を実施する。


持続可能な観光の開発には、多方面からの参画やコンセンサスの形成を実現する強力な政治のリーダーシップが求められますが、これと同様に、関連するあらゆるステークホルダーが事実を知ったうえで参画することも求められます。持続可能な観光の実現に向けて、その道は絶え間なく続きます。影響を絶えずモニタリングし、また、必要とあればいつでも、予防策や是正策を導入しなければなりません。

また、持続可能な観光では、観光客の高い満足度を維持し、観光客が意義ある体験を享受できるようにすることで、持続可能性の問題に関する認識を高め、持続可能な観光の慣習を観光客の間で広めることも必要です。