(5月7日付UNWTOプレスリリースから和訳したものです)
Press Release May7th(原文)
2011年の国際観光収入は、2010年の9280億米ドルから増加し、初めて1兆米ドルを超えた。これは世界観光客到着数の4.6%増加を受けて、収入は実質3.8%伸びた。国際旅客輸送からの収入が1960億米ドル増え、2011年の国際観光収入は1兆2000億米ドルになった。
最新のUNWTO世界観光指標によると国際観光収入は、2009年の経済危機の落ち込み後から回復を続け、殆どの観光地で新記録を達成し2010年の観光地での観光収入は9280億米ドル(7000億ユーロ)から1兆300億米ドル(7400億ユーロ)に達したと見込まれる。
実質価格(インフレと為替変動を補正)では2011年の国際観光収入は3.8%成長した。一方で到着数は4.6%増加し9億8200万人になった。経済的な制約により、収入の動きは到着数よりもわずかに遅れるという双方の指標にある密接な相互関係を確かなものにした。
“これらは有望な兆候である”とUNWTOの事務局長は述べ、“過去2年間の経済回復にはばらつきがあるものの、多くの市場の中で国際観光は健全な需要があった。またこれは財政上の窮迫および国内消費力の低下に直面している国々にとって特に重要なニュースである。すなわち主要貿易部門のひとつであり、また強い雇用をもたらす国際観光は対外赤字の解消及び雇用の刺激にとってますます戦略上の重要さを増している。”と述べた。
更に“このために、観光が雇用の創出および経済成長を活性化することを認識したうえで、各国政府がこれらの実績をふまえた、より公正な税制政策、ビザ給付および旅行者の移動の円滑化など観光をサポートする方策に取り組んでくれる事を期待している”と加えた。
2011年、地域別では国際収入で最も伸びが大きかった米州(5.7%増)、そしてヨーロッパ(5.2%増)、アジア・太平洋地域(4.3%増)、アフリカ(2.2%増)と続く。中東(14%減)はマイナス成長を見せた唯一の地域となった。
ヨーロッパの国際観光収入は実質価格で(シェア45%)4630億米ドル(3330億ユーロ)という最大シェアを誇り、これにアジア・太平洋(シェア28% 2890億米ドル/2080億ユーロ)、米州(シェア19% 1990億米ドル/1430億ユーロ)が続く。中東(シェア4%)は460億米ドル(330億ユーロ)となり、アフリカ(シェア3%)は330億米ドル(230億ユーロ)であった。(ファイル36-1参照)
国際観光収入(国際収支における旅行関連項目)のほかに、観光は国際旅客輸送を通じ輸出収入をも生み出す。2011年では1960億米ドルに値すると推定されており、国際観光がもたらす全体の収入は1兆2000億米ドルで、これは1日平均34億米ドルに相当する。
この結果、国際観光は(旅行、旅客輸送)現在、世界の商業サービス輸出の30%、また財・サービス輸出全体の6%を占める。輸出部門として、観光は燃料、化学、食品に次いで世界で4位に位置する一方で、多くの新興国で第1位の座を占める。
「BRIC諸国では観光支出が堅調な伸びを見せる」
2011年は多くの送客市場で強い需要を生んだ。しかしながら、それはBRIC(ブラジル、ロシア、インド、中国)が引き続き著しかったことによる。中国は観光支出を730億米ドルまで伸ばし、ロシアは320億米ドル、ブラジルは210億米ドル、インドは140億米ドルになった。これらの増加は合計で320億米ドルになり、支出で8番目に大きな送客市場に相当する。
先進国における送客市場ではドイツ、オーストラリア、ノルウェイ、ベルギー、カナダが絶対値で最も大きな成長を報告している。(ファイル36-2参照)
「新興国および先進国共に観光収入が増加する」
2011年は先進国および新興国において到着数および観光収入において恩恵を受けた。アメリカ(1160億米ドルに増加)、スペイン(600億米ドル)、フランス(540億米ドル)、タイ(260億米ドル)、香港(中国)(270億米ドル)は大きな伸びを見せた。シンガポール、ロシア、スウェーデン、インド、韓国、トルコといった低く見られていた観光地がかなりの増加を示したと報告されている。(ファイル36-3参照)