ガストロノミーツーリズム in Japan
~ガストロノミーツーリズムで食文化を守り・育て、そして地域を元気に~
2018年2月5日にガストロノミーツーリズムに関するシンポジウムを国連大学本部(東京・青山)で開催しました(主催:日本観光振興協会 共催:国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所・株式会社ぐるなび)。当日は国、自治体、民間企業、学術機関、メディア等から約300名にご参加いただきました。
会議冒頭では、日本観光振興協会の山口範雄会長がガストロノミーツーリズは、気候・風土・文化が連動し、旅を通して食文化を味わうということであり、異文化理解とフェイスツーフェィスの対話が、平和、協調の構築を促進すると説明しました。
国連世界観光機関(UNWTO)駐日事務所の本保芳明代表は、UNWTO・(株)ぐるなび・日本観光振興協会が共同で実施したガストロノミーに関する調査に触れ、日本にはガストロノミーに関する優れた取組があり、今後は体系的な取組みが必要であると述べ、継続した議論が必要であると述べました。
来賓としてUNWTO前事務局長のタレブ・リファイ氏、観光庁の田村明比古長官が出席しました。リファイ氏は、観光と文化は密接に関係しているので、世界においてグローバル化が進むなか、食はそれぞれの地域の独自の食文化を示すものであるとして観光を通したガストロノミーへの取組の重要性を述べました。田村長官は、ユネスコの世界無形文化遺産である「和食」は日本の強みであるとして、地域ならではの食材、食文化は大きな魅力であるとし、全国津々浦々へ訪問してもらうための仕組作りが課題であると述べました。
続いて先述のガストロノミーツーリズムに関する共同調査についての説明があり、日本で初めての試みであり、自治体など約1700カ所を対象に実施しました。調査の結果、ガストロノミーのツーリズムの認知度は18%、施策・事業として位置付け、位置付け予定については22%に留まりました。成功のカギとして、生産者等との連携・地元業者との連携の強化が必要であり、課題のポイントとして人材・予算の確保、地元の認識共有・協力があげられました。
その他基調講演のUNWTOアフィリエイトメンバー部のヨランダ・ペルドモ部長は「海外におけるガストロノミーツーリズムの潮流」と題してスペイン、アルゼンチンのガストロノミーツーリズムの事例などを紹介しました。また、株式会社ANA総合研究所取締役会長の小川正人氏をモデレーターに、気仙沼商工会議所会頭の菅原昭彦氏、奈良県知事の荒井正吾氏、天領酒造株式会社代表取締役の上野田隆平氏により「ガストロノミーツーリズムで食文化を守り・育て、そして地域を元気に」をテーマにパネルディスカッションを実施しました。
最後にモデレーターからコメントを求められたリファイ前事務局長は、旅は観光客だけが楽しむものではなく、受け入れる側も生活が改善され、幸せを感じてもらえることが大切であること。また世界から敬愛される日本には今後も多くの人が訪問するとの日本への観光の期待を述べました。
今回のシンポジウムを通して、地域や観光関係者にガストロノミーツーリズムへの理解を深めていただくと同時に地域活性策としてのツールとしての理解を深めるきっかけとなりました。
シンポジウムの様子