第70回国連総会において、154名の国家元首または政府首脳により、17の持続可能な開発目標(SDGs)が、大胆かつ野心的な「持続可能な開発のための2030アジェンダ」として採択されました。とりわけ、貧困の撲滅、地球環境の保護、万人の繁栄を目指しています。
この世界共通の統合的かつ変革的なビジョンに基づき、UN Tourismでは、技術支援と能力開発によりこれらの国際的な目標の達成に貢献するよう、取り組みを進め精力的に活動しています。UN Tourismは各国政府、官民のパートナー、開発銀行、国際および地域の金融機関、国連機関、そして国際組織と協力してSDGsの達成を支援しており、観光が主要テーマとなる目標8、12、14に重点を置いています。
UN Tourismでは、スイス経済事務局の支援を受け、「SDGのための観光のプラットフォーム」(www.tourism4sdgs.org)を策定しました。政策立案者、国際組織、学術関係者、寄贈者、企業、観光に関する全てのステークホルダーを対象としており、SDGの実施戦略への参画を促しています。このプラットフォームの3つの主要テーマである、「学ぶ」、「共有する」、「行動する」は、観光が持続可能な分野となるための活動、対話、協力の要請でもあるのです。
すべての人々のための持続的、包摂的かつ持続可能な経済成長、生産的な完全雇用およびディーセント・ワーク(働きがいのある人間らしい仕事)を推進する。観光は、世界の経済成長の原動力の一つであり、現在では、世界で11人に1人が観光分野で働いています。観光が働きがいのある雇用機会を提供することにより、技能と専門性が向上し、社会(特に若者と女性)に恩恵をもたらします。観光分野における雇用創出への貢献は、ターゲット8.9「2030年までに、雇用創出、地方の文化振興・産品販促につながる持続可能な観光業を促進するための政策を立案し実施する」に明記されています。
持続可能な消費生産形態を確保する。「持続可能な消費と生産(SCP)」の実践を採択している観光分野は、持続可能性に向けた世界的な転換を加速するための重要な役割を果たすことができます。そのためには、目標12のターゲット12.bにあるように、「雇用を創出し、地域の文化や産品を活かす持続可能な観光のための、持続可能な開発の効果を測定するツールを開発し、実践すること」が非常に重要です。持続可能な消費と生産の仕組みに関する10年計画(10YFP)の中の持続可能な開発プログラム(STP)は、このようなSCPの実践の推進を目的としており、それには経済的・社会的そして環境面での成果をより高めるための資源効率のよい取り組みが含まれています。
持続可能な開発のために、海洋・海洋資源を保全し、持続可能な形で利用する。観光の最大の分野である海岸と海洋での観光は、特に小島嶼国(SIDs)において、健全な海洋生態系に依存しています。観光開発は、破壊されやすい海洋性体系の保全保護を進め、ブルー・エコノミー(環境を損なわない海洋経済)を促進する手段となるように、「総合的沿岸域管理(ICZM)」の一部に組み込まれなければなりません。このことは、「2030年までに、海洋資源の持続可能な活用によって、また、漁業、水産養殖業、観光の持続可能な管理を通じて、SIDsやLDCsへの経済的恩恵を増進する」というターゲット14.7に則しています。
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