2012年10月11日~13日に中国・桂林にて、UNWTO/PATA共催 第6回ツーリズムトレンド・アウトルック会議が開催され、会場のシャングリラホテルには約300人の聴衆で埋まりました。
この会議の目的は、汎アジア太平洋地域を基盤とする、政策立案者、政府高官、研究者、業界の代表者が地域における動向を評価し、観光における潜在的効果をさらに理解する為の場を提供することにあり、6回目となる今回の会議では、観光政策、開発、実践のための協力やパートナーシップの効力について議論されました。
浅沼代表は今後のUNWTOアジア太平洋センターの取組みの一つである「海のシルクロード」プロジェクトの構想についてプレゼンテーションし、その意義について以下、5点を述べました。
①広大な地域を旅する
②悠久の歴史を旅する
③多様な民族との交流を図る
④多様な物資の流通を探る
⑤多様性の共存を考える
人、モノ、情報の移動・交流は人々に喜びを与え、また時には対立・紛争を引き起こしてきた。今日のグローバリズムが進展する中でかつて葛藤と融和を繰り返しつつ共存してきた地域から学ぶべきと提案しました。
また、海のシルクロードを世界の観光交流の道として機能させるためには、各国やユネスコをはじめ各機関との連帯が最重要であると、参加者に協力を呼びかけました。
さらに浅沼代表はUNWTOの目的は旅行を通じて各国が豊かになることや、相互に相手の国を理解することであると述べ、旅行を通じてGDPを増やし雇用の拡大等に寄与することが大変重要であると強調する一方、相手を理解し平和を追求することが今極めて重要なテーマであり、ユネスコ憲章にある「戦争は人の心の中で生まれるものであるから、人の心の中に平和のとりでを築かなければならない」と相通じるものであると述べました。
プレゼンテーションの終わりでは、中国の作家“魯迅(ロ・ジン)”が青年時代に日本の仙台で医学を学び、師や友人と友情を深めた経験に基づき、小説「藤野先生」を著している例をあげ、平和を追求するという観点から、青少年の交流=心の交流がより効果的であり、旅行業も「心の交流」の旅を目指したいと締めくくりました。参加者からは大きな賞賛がなされ、またインタビュー、質問も多数受け、講演は成功に終わりました。