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第1回地域発展のための観光に関する国際会議に参加しました

日時:2024年12月10日
場所:ベトナム ホイアン 
参加人数:50カ国から約300人

UN Tourismとベトナム文化スポーツ観光省により「第1回地域発展のための観光に関する国際会議」が開催され、日本からは観光庁、京都府南丹市美山町、宮城県東松島市奥松島地区、奈良県明日香村、新潟県長岡市山古志地区及びUN Tourism駐日事務所が参加しました。この会議は、観光が農村地域の開発の推進に果たす重要な役割と貢献を強調し、さらにそれを促進するために、国、地方自治体、国際機関、民間部門が一堂に会する世界初の国際会議となります。

UN Tourism上級部長のゾリツァ・ウーロゼビック氏は開会挨拶において、本会議は地域コミュニティに大きな変革をもたらす観光の潜在能力を示す画期的なイベントであると述べました。会議のメインプログラムにおいては、冒頭にUN Tourism市場情報政策・競争力部長のサンドラ・カルバオ氏が「観光を地域発展の推進力にする」というテーマで基調講演を行い、世界の貧困の約80%が地方に存在しており、ルーラルツーリズムに取り組むことはSDGsの目標1「貧困をなくそう」に直接的に貢献すると強調しました。その後、政府機関、観光業界、メディア、テクノロジー企業による講演の他、ルーラルツーリズム推進に関する政策、地域コミュニティのエンパワーメント、農業と観光との連携強化、観光事業への若者層の参画促進等をテーマに6つのパネルセッションが展開されました。

ゾリツァ・ウーロゼビック上級部長 開会挨拶   パネルセッションの様子

また最後には、まとめとして以下のルーラルツーリズムの推進における要点が発表されました。

①主な課題はインフラ
• 地域へのアクセシビリティ(デジタルを含む)を強化し、持続可能な観光ルートを通じて目的地をつなげるためにインフラに投資する。
• 資金調達のために官民連携(PPP)を促進する。
• 観光を開発アジェンダの一部として位置づける。

②地域コミュニティ中心の開発
• 地域コミュニティのリーダーを育成する。
• 持続可能性に焦点を当て、地域コミュニティ独自のアイデンティティを維持させる。
• 観光戦略や製品の開発において地域コミュニティを参画させ、地域の価値が守られる様にする。
• 技術や能力を向上させるための支援

③地域経済のエンパワーメントの促進
•「家があれば職があり、職があれば未来がある」
•民間セクターによるグリーンエネルギーや持続可能な取り組みへの投資を促進する。
•銀行機関と提携し、地域の観光活動への資金提供を行い、地域コミュニティのマネジメントを支援する。
•起業家精神を育み、人材の流出を防ぐ。

④農業と観光の連携の促進
• 農業観光、オーガニック製品の販売、教育ツアーを促進する。
• 宿泊施設事業者と生産者を結びつける。
• 観光を活用して農業遺産の保存と促進を行う。
• 食は人々を結びつける。
・事例:世界農業遺産や一村一品運動

⑤地域のストーリーの発信
• ルーラルツーリズムは現在の観光トレンドと一致している。
•「知られざるスポット」、「地域のスポット」として紹介する。
• 魅力的なアクティビティの提供―メディアを招待し「体験」してもらう。
• 地域の「特徴」を見出す(映像等、視覚的に訴えることも必要)。

⑥若者のエンパワーメント
• 若者のスキルを見つけ認識し、評価する。
• スキル向上と市場参入の機会を提供する
•若者が伝統を学ぶ機会を影響し、革新的な精神を最大限に引き出す。

⑦観光の多様化と価値
• 地域が一年を通じて訪問されるように観光商品を開発・強化し、地域の社会的・経済的恩恵を最大化するとともに、持続可能な取り組みを維持する。
• 漁業や地元の手工芸品などを観光体験として促進する。
• 商品開発に投資する。

⑧市場との連携を構築
• デジタルスキルの向上を促進する旅行プラットフォーム
• 市場のニーズと機会を理解する
• 「ルーラルツーリズムはトレンドである」(Fliggy)

⑨地域のデジタル化
• 常にインターネットにアクセスできる状態にする。
• 様々なプラットフォームを活用する。
• 観光客はソーシャルメディアを使って旅行のインスピレーションを得たり、自分の冒険をシェアしたり、家族や友人と交流したりしている。

⑩「私たちは観光を開発するのではなく、観光を農村地域の持続可能な開発のためのツールとして活用する。」
Ms. Wanvipa Phanumat, Director of Tourism Strategy Management
Designated Areas for Sustainable Tourism Administration (DASTA), Thailand

※本会議の”Conclusion”からの参考訳
※本会議の公式ウェブサイトはこちら(プログラム及び講演者資料、動画を閲覧いただけます)

ベスト・ツーリズム・ビレッジ(BTV)ネットワーク年次会議の開催

同会議の前日の12月9日にはBTV年次会議が開催され、30地域から50名が参加しました(日本からは美山、奥松島、明日香、山古志の他、観光庁、UN Tourism駐日事務所が参加)。本会議はプレゼンテーションとグループディスカッションにより構成され、これまでのBTVネットワークの成果を振り返るとともに、今後、各地域のより積極的なBTVネットワークの活動への参画を得るために、

1.知識の共有、パートナーシップ、可視化の観点からどのようなアクションが考えられか。
2.拡大していくBTVネットワークを効率的に運用するために、地域レベルの委員会やグループを立ち上げることについてどう考えるか。

について議論が行われました。

そして、これらの議論を踏まえ、同ネットワークの基盤を強化するための戦略的枠組みが採択されました。なお、地域間の連携の優良事例として、2024年11月に立ち上がった日本版BTV連携協議会の背景や経緯、体制、行動理念等について、一般社団法人南丹市美山観光まちづくり協会様より同協議会を代表してご発表いただきました。このような組織が構築されている例は世界でも他になく、参加した地域から大変強い関心が寄せられました。

会議の様子                   南丹市美山観光まちづくり協会様ご発表の様子

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