世界最大級の旅の祭典「ツーリズムEXPOジャパン(TEJ)」が、9月22日(木)~25日(日)の4日間、「新しい時代へのチャレンジ~ReStart~」をテーマに、東京ビッグサイトで開催されました。
初日のオープニングセレモニーでは、UNWTO賛助加盟員部Ion Vilcu部長が来賓挨拶を行い、気候変動やインフレなど観光を取り巻く環境が変化する今こそ、観光を再構築し、観光の影響力を評価し見直す時であること、TEJで共有されるアイデアやビジネスモデルの持続的な発展に期待することなどを述べました。
基調講演では、定期航空協会会長/全日本空輸株式会社代表取締役社長 井上慎一氏が「“さあ、未来の空へ” 持続可能な航空業界への挑戦」をテーマに、航空業界によるネットゼロの取組として動植物油脂等の植物を原料とするSAF(サフ:Sustainable Aviation Fuel)が大きな役割を果たすこと、将来の航空業界が技術革新を通じて2050年までにCO2を増やさない交通インフラに変革しようとしていること、官民の枠、産業セクターの枠を越えて連携し、次世代に持続可能な航空輸送と旅行体験をつないでいきたいことなどを述べられました。
第5回TEJ観光大臣会合では、主題を「観光による気候変動への挑戦」、副題を「ウィズコロナ・ポストコロナ時代の新しい産業のカタチとは」として、7か国の観光大臣・観光行政トップとUNWTOを含む4つの国際観光組織の代表計11名が登壇しました。冒頭でVilcu部長は、観光産業が有意義に気候変動対策を加速させるために、セクター全体でより野心的な取組が必要で、強力な官民パートナーシップが解決策を見つける上で不可欠なツールとなると挨拶しました。セッションは2つのパートに分かれて行われ、前半はコロナ禍における各国及び組織の状況、気候変動や持続可能な観光に対して行っている取組の共有、後半は気候変動対策に観光が貢献するため、政府と民間による新たな官民連携のあり方について意見交換が行われました。各国の政策、ビジネス慣習、旅行者・消費者行動に関する取組や考え方が示された後に、Vilcu部長は改めて官民パートナーシップの重要性を強調するともに、気候変動の問題の中で、旅行の目的地も変化し、社会的・経済的な責任を持って旅行する人が増えるはずで、官も民もその変化に対応しなければいけないと総括しました。
UNWTOでは、TEJの2日目の9月23日(金)に、「UNWTO Affiliate Members Corner(UNWTO賛助加盟員コーナー)」を開催しました。UNWTOは160加盟国及び6地域と500以上の賛助加盟員で構成されています。本コーナーでは、「Sustainability and Digitalization in Tourism Product Development(観光商品開発における持続性とデジタル化)」をテーマに、賛助加盟員6団体から取組を発表いただくとともに、参加者の皆様に交流いただきました。
Vilcu部長、UNWTO駐日事務所本保芳明代表、日本旅行業協会(JATA)理事長 志村格氏の開会挨拶につづいて、株式会社JTB執行役員 髙﨑邦子氏から、グローバル・サステナブル・ツーリズム協議会との協力覚書(MOU)締結や自社における2050年までのカーボンニュートラルの取組についてご説明いただきました。ヨーロッパ観光委員会(ETC)からはアジアにおける旅行に対する消費者信頼度を高めるための共同プロモーションのご紹介があり、IGLTA(International Gay & Lesbian Travel Association:国際ゲイ&レズビアン旅行協会)理事 池内志帆氏からはコロナ禍において今後どのようにLGBTQ+ツーリズムを発展させていくべきかを示したビジョン、IGLTA財団「Going Further」のご説明をいただきました。Networking Coffee Breakをはさみ、韓国観光公社マーケティングマネージャー Dinah Kwon氏からVirtual Seoul(会議・ライブディスカッション・出展等がオンラインで開催できるプラットホーム)のご紹介をいただき、スペイン・バスク州観光局代表 ダニエル・ソラナ氏からバスク地方における持続可能な観光とスマートツーリズムへの取組についてご説明がありました。最後に、和歌山大学国際交流課長 中元一惠氏から同大学における取組の中で教育面における観光と文化交流の重要性についてご説明いただきました。
国・旅行会社・学術機関等から約40名の方にご参加いただき、UNWTO賛助加盟員様の活動を知っていただく良い機会となりました。
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